多様な働き方支援 セブン-イレブンとタッグを組む保育園-前編
2018.12.06
2017年10月に開園した大田区池上の「セブンなないろ保育園」は、セブン-イレブン・ジャパン様の企業主導型保育所で、運営はどろんこ会グループが担っています。今回はこちらの保育園を取材してきました。前編では、セブン-イレブン・ジャパンの米川さんにお聞きした企業主導型保育所設置の経緯やどろんこ会グループを選んだ理由などをお伝えします。
セブン-イレブン・ジャパン初となる企業主導型保育園
セブン-イレブン・ジャパンが保育園を設置するに至った経緯を教えてください。
セブン-イレブンは、女性を中心とした地域のパート・アルバイト勤務の方々に支えられて成り立っていると言っても過言ではありません。そんな方たちが出産を機に退職されて、お子さんの預け先がないため復職できないという声を多く聞くようになったことがきっかけです。また、子ども・子育て支援法の一部改正により平成28年4月に仕事・子育て両立支援事業が創設され、私ども民間企業が保育施設を設置するハードルが下がったことも後押しになりました。
加盟店のオーナー様の中にも、そんなママさんたちの復帰を願っている方が多いため、セブン-イレブン・ジャパンとして平成28年に企業主導型保育所の取り組みを始めました。翌平成29年10月にはこちらの大田区池上と広島の2園を、今年の7月には仙台にも保育園を開園させました。
なぜどろんこ会グループを選ばれたのでしょうか?
保育事業をスタートさせるにあたり、様々な保育事業者さんを確認させていただきました。話を進める中で、将来的に弊社の業務形態に合わせた24時間保育や土日祝日などの保育運営を目指した場合に、病院の保育を中心にされている日本福祉総合研究所様(どろんこ会グループ)が柔軟性があり保育運営をお任せできるのではないかと判断いたしました。
また、企業主導型保育所や事業所内保育所の運営やコンサルティングなどの経験も豊富で多くのノウハウをお持ちであり、先生方の経験値も高いという意見が弊社内でまとまり、御社にお願いするに至りました。
―― 実際に開園してからの園の様子をどのようにご覧になっていますか?
企業主導型保育所という響きから、ビル内の一室で、主に室内だけで過ごすようなイメージを持たれる方もいると思います。実際、店舗併設で園庭を設置できない弊社の保育園では、どれくらい自然を取り入れた体験やプログラムが実現できるのだろう?という不安はありました。
しかしそんな心配はよそに、ここ、セブンなないろ保育園では午前も午後も先生方が子どもたちをお散歩に連れていき、日々自然を体感できる保育に取り組んでくださっています。ウサギやヤギを飼育している系列のどろんこ保育園とも交流させていただいたり、窓際にプランターを置いての野菜作り(いちご・トマト・ナス)にチャレンジしたりなど、園庭がなくても様々な工夫を凝らして子どもたちが自然に触れ合える機会や環境を整えてくださっていることに感謝しています。
もうひとつ感銘をうけたこととして、「自分で考えることができる、生き抜く力を育てる」ために「次の行動を言葉で指示しない」というどろんこ会グループの保育園ならではの考えがあります。
保育園といえば、先生が「次は○○やるから○○してね」と大きな声で子どもたちに声を掛け先導しているイメージが大きかったのですが、この園では先生が答えを先に言うのではなく、子どもたちがまず自分で考えることを徹底しており、これはなかなかできることではないなと感じています。しかも、こちらは園児の年齢が0歳児から2歳児までの園。自我が芽生え、第一次反抗期とも言われる1歳児や2歳児、世に言う「イヤイヤ期」の子ども達相手に、です。
子どもが考えて行動をすることに、大人である先生方がその子のペースに合わせてサポートし、毎日を過ごす。こうした保育はどろんこ会グループだから実現できる魅力です。セブンなないろ保育園の子どもたちが、たくさんの自然体験の中からいろいろなことを学び、自分で考えて行動することができる人になってほしいと思っています。
「認可外=レベルが低い」という考えはもう古い!
―― 企業主導型保育所の役割をどうお考えですか?
子ども・子育て両立支援事業のひとつである「企業主導型保育事業」は、地域の待機児童解消を目的とし創設されました。私ども民間企業が保育の受け皿の拡大を担い、また、出産等による優秀な従業員の離職を防ぎ、従業員のライフスタイルに合わせた柔軟な働き方をサポートすることは、日本の将来のためにもとても意義のあることだと思います。
法改正により開所のハ―ドルが下がり、従来の認可保育園のルールに縛られない形での保育園運営が可能になったわけですが、その一方で保育園を運営するからにはどろんこ会のような「保育のプロ」とタッグを組むことが、利用者の安心や安全面にもつながるのだな、と感じています。「認可外=レベルが低い」という考えは一昔前の考え。これからは様々な働き方ができる時代です。小規模だからこそ利用者の細やかなニーズに寄り添ったオリジナリティある保育で、働くママたちの力になりたいと思っています。
―― 保育園との連携や協力体制はどのように行っているのでしょうか?
月に一度の定例会で、園側からの報告や改善点の話し合い、イベントなど行事のお知らせも共有していきます。例えば現状こちらの園では、子どもたちの給食が終わってから先生方は給食を取るというスタイルですが、園長から「子どもたちと一緒に食事をすることで食育に繋がる言葉がけもできるので、ルールを変更できないか」という声が上がりました。私自身も二児の母として、預ける側の気持ちや先生方の考え・苦労も汲み取っていけるのは強みかなと思っており、園長の提案に賛成できる場合はいち早く社内で許可を取れるように日々働きかけたりもしています。
また、こちらからも広報活動として園に取材のご協力をいただくこともありますが、忙しい中、お時間をとっていただいてとても助かっています。園長とは、お互いに何でも気軽に話せるような関係性を築きながら、より良い保育園の雰囲気を作れるよう頑張りたいです。
地域の産後ママの復職の大きな後押しに!
―― 保育園設置後の効果はいかがですか?
「こういうのを待っていたよ!」と従業員のママさんからとても嬉しい声をいただいています。もちろん、地域の方も活用できるよう枠を設けていますので(定員の半数)、待機児童の多い0~2歳のお子さんを持つ保護者の方にも喜んで利用していただいています。
また、認可保育園と違って、「週に何日以上働かないと入れない」という規定がないので、「まずは週1~2日から短時間で働きたい」といったニーズにも対応できるのが、この企業主導型保育所のいいところだと思っています。セブン-イレブンの従業員は保育料も3割ほど安く利用できるのもメリットのひとつだと思います。階下のセブン-イレブンで働くお母さんもいらっしゃるので、お散歩で行き来する際に手を振ったり、急にお熱が出た際は、電話連絡ではなく下の店舗まで降りていっていち早くお伝えすることもありますよ。
それから、従業員ママさんからの地域情報は、私どもにとってとても役立つものです。例えば「今週末は〇〇小学校で運動会がありますよ」「子どもたちにこのお菓子が人気です」などといった声をもとに、店舗の陳列をより地域ニーズにあったものに変更することで売り上げアップにつなげることができます。今の時代のコンビニは、様々な方が様々な目的で訪れる場所。サラリーマン、働く女性、若者、高齢者。お買い物だけでなく各種支払いや宅配物の受け取りなどをされる方も。そうした幅広い客層を相手にサービスを展開していくためにも、主婦ならではのきめ細やかな接客、対応力はとても力強く思っています。保育園の設置により、主婦の方々が活躍できる場所を提供でき、かつ主婦の力を私どもとしてもうまく活用できるという相乗効果を生み出すことができたと考えています。
―― 今後の展望がありましたら教えてください。
まだまだ、待機児童が解消できていない地域が全国にたくさんあります。私どもとしては、地域の声を受け止めながら、スピード感をもって「セブンなないろ保育園」を増やしていきたいと考えています。そして私個人としては、園長や現場で働く方々の声を聞きながら、安全で無理のない保育を第一に考えて運営するよう心掛けていきたいです。
米川さん、ありがとうございました。後編では上海園長にお話を伺います。
関連リンク
セブンなないろ保育園の情報はこちらにも掲載されています。
セブン-イレブン・ジャパン 社内外の女性、若者、高齢者の活躍支援(「セブンなないろ保育園」の開園)
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